99 屋久島ひとり旅② 樹齢2,700年以上の杉と26歳になった女
屋久島2日目。
この日はいよいよ縄文杉のトレッキングに挑戦する日。
屋久島に行ったことのある友達からその過酷さと素晴らしさを教えてもらっていて
登山経験がなかったので予行練習に近くの山に登ったりもしました。
トレッキング用品も一から全部そろえて準備は万端!で、
この日をまだかまだかと待ち望んでいました。
4:20にガイドさんのお迎えが来る予定だったので
3:30に起床して準備。一人だったので寝坊するとおしまいだ!と思って
どきどきしていたけれど意外とすっと起きられました。
ガイドさんの車に揺られて、まずは屋久杉自然館に。
登山口まではここからバスに乗り換えて行くので
チケットを買ってバスの時間まで朝ご飯のお弁当を少し食べます。
ここでホテルに昨日わざわざ買った水を忘れてきたのに気づき
自販機で水を買いました。笑
5:00発の荒川登山口行きのバスに乗り込みます。
感染対策で、4列シートのうち、窓側の1列ずつと補助席のみ使用可でした。
いつものこの時期なら座席をフルで使用しても始発のバスに乗れない人も
いるくらいの混み具合だそうなのでやっぱり人は少なめのようでした。
バスの道は、山道で酔うよ!と友達から教えてもらっていたので
爆睡して酔いを回避。
5:30頃に登山口に着き、お弁当の残りを食べて6:00頃いよいよ出発!
最初の2時間半はトロッコ道を歩きます。
トロッコ道を歩いている途中で朝日が昇ってきたのがきれいに見えました。
まさに御来光という感じで、トレッキングの無事をお願いしました。
トロッコ道の序盤で遭遇する一枚岩。
ガイドさんに、屋久島は火山の噴火によって隆起した花崗岩によってできたこと、
ほとんどの木が土が少ないのでこういう岩に生えた苔の上に生息していることを
教えてもらいました。
岩山が身近でなかったわたしにとってはとても驚きの事実でした。
ここには昔集落もあったそうで、これは学校の校門の跡地だそう。
この先にも役所の跡地や防空壕の跡地などもあって
確かに人が住んでいた形跡が残っていました。
木を切ってトロッコでそれを運んでいたそうです。
そのトロッコ道をわたしたちはずんずんと歩いていきました。
ガイドさんがたびたび、
日の光が木のすき間から入ってくるポイントを教えてくれました。
毎日光の入り方が違うそうです。
この日は天気が良かったので日が降り注いでいて
木々たちがきれいに照らされていました。
木の気持ちは分からないけれど、日に照らされるとなんだか嬉しそうでした。
噂には聞いていたけどトロッコ道が長い。笑
トロッコ道の道中で2~3回くらい休憩をとりました。
休憩のたびにガイドさんが地元の美味しいお菓子をくれました。
なので自分で買った行動食は一つも食べませんでした。。ガイドさん優しい。
トロッコ道の道中に出会った大きな杉の一つとしてまず三代杉があります。
一代目の杉が倒木したあとに二代目が育って、
それが人の手によって切られて切り株になったあと
そこにまた三代目が育っているという
三つの杉が支えあうようにして立っている杉でした。
その時、「切り株更新」という概念を初めて知って
どんな姿になっても一生懸命根をはって生きようとする、
木の生命力に驚きました。
次に出会ったのは仁王杉です。
これは阿形で、相方の吽形は倒木してしまったそう。
まだ山道に入っていないのに、とても立派な屋久杉にたくさん出会えます。
また屋久杉だけでなく、ときたま木が開けると山々が見えました。
これは翁岳という山で、山頂に大きな岩があるのが特徴的(らしい)。
やっぱり屋久島の山は岩山ばかりなんだなあというのがすごくよくわかりました。
予定通り2時間半くらいトロッコ道を歩いて山小屋に着き、トイレ休憩。
この山小屋のトイレもいつもなら列の先がトロッコ道まで続くほど
人がいるそうですが、この日はわたしたち以外に2組ほどしかいませんでした。
ガイドさんも、人が少ないほうがガイドしやすい反面、
4・5月の頃は全く仕事がなかったから…と複雑な心境のようでした。
山小屋を出るといよいよ山道に。
途中で出会えたヤクザルを追いかけるようにして歩いていたら
山道もそこまで苦ではなかったです。
ヤクザルは本州のニホンザルに比べると一回り小さく
毛がふさふさしていてるのが特徴だそう。
本当にふさふさしていて、あとお尻がまっかっかで後ろ姿がかわいかった~
ウィルソン株に到着!
屋久島を広めてくれたウィルソンさん。ありがとう。
切り株の中から空を見上げるとハートに見えるそうです。
全然ハートになるポイントが分からないでいたらガイドさんが教えてくれて
おまけにiphoneのパノラマですごくきれいに撮影してくれました。
天気がちょうど良くて、ハートの輪郭がくっきり!
ウィルソン株を超えてさらに山道を登っていくと
さっきまでは見えなかった、宮之浦岳が見えました!
宮之浦岳は九州一高い山。
ガイドさんにあそこに登ったら九州一の女になれますよと言われました。
九州出身ではないけど…。…登ってみたいな。
着実に標高が上がってきているのが分かって頑張る気持ちがみなぎってきます。
そして…大王杉。
迫力に圧倒されました。これは樹齢3,000年を超えているそう。
縄文杉よりも近くで見られるので人気が高いそうです。
確かにすごく近くで見られるので幹の太さも感じやすかったです。
だんだん自然界における自分のちっぽけさに気付き始めます。
そしていよいよ世界自然遺産地域へ。
てかこれまで世界自然遺産地域じゃなかったんかい。
もう全部世界自然遺産地域でいいくらいすごかったよ!となりました。
世界自然遺産地域に入ってすぐに出会ったのは夫婦杉。
二つの杉が手を繋いでいるように見えます。
これくらい高いところで杉が繋がっているのはとても珍しいそうです。
だんだん目が慣れてきましたがこれも立派な屋久杉。すごいのです。
山道の道中にたびたび現れるヒメシャラの木。
表面がつるつるとしていて冷たくて気持ちいいの。
縄文杉に出会う直前に思い切って抱き着いてみました。
気持ちよすぎました。大好きヒメシャラ。
そしてそしてついに50…!
これは確か山小屋のところからナンバーが振られていて、
1増えるごとに50m進んだことを教えてくれる標識。
「1」の時にガイドさんに、みんな最後の方はこの数字のこと忘れてるんだけどねぇと
おっしゃっていましたが本当に忘れていました。
でも50の数字を見た瞬間、やったー!!!となりました。
縄文杉さまです。
保護のために囲いがされていたので少し遠くからですが
それでも圧倒的オーラを放っていました。
実はこの日26歳の誕生日だったわたし。
もちろんガイドさんにも言わずに
ただ自分の新しい歳の始まりを縄文杉を見てスタートできたらなと思って
誕生日にこのツアーに参加しました。
縄文杉は2,700年以上生きていることは間違いないそうですが
詳しい樹齢は不詳。
最高では7,200年も生きているという説もあるそうです。
そんな縄文杉を前にした26歳のちっぽけな自分。
こんなにも生存競争が激しく、
長く長く生きられる木は一握りなぐらい厳しい自然界で
こんなにも長く立派に生きている縄文杉と、
ちょっとでも嫌なことがあったらピーピー言ってる
たった26年しか生きていない自分。
縄文杉の前で情けなく反省し
でもこれから私は人間界で立派に生きていくので見ていて下さいという気持ち
になりました。
言葉にすると変な感じがするけれど、そんなようなことを考えていました。
縄文杉を見られるデッキは左右にもあって
横から見るとその幹の太さがよくわかりました。
少し前の大王杉の大きさにもびっくりでしたが、それよりもさらに大きい縄文杉。
やっぱりすごいです。パワーをたくさんもらいました。
ここまで約5時間。
ガイドさんに「意外ときつくなかったです~!」
とかぬかしていたわたし。
下りの山道で膝が遊び始めて、ぶるぶるしながら歩いて笑われました。笑
もう写真を撮る元気も残っていませんでした。
ガイドさんと今まで行った旅行の話とかをして何とか気を持ちこたえる。
それと夫婦杉のふもとで食べたお昼のお弁当美味しすぎた。
片道だけで2,000カロリーぐらい消費していたので
お腹ぺこぺこだったからわたしの口は掃除機かという勢いで食べました。
ガイドさんが温かいお味噌汁を入れてくれてそれもすごーくしみました。
そこに足をつっこみました。
めちゃくちゃ冷えていて気持ちよかった~。
やっぱりたくさん歩いた足は軽く炎症を起こしている状態になって
熱をもっているから冷やすのは有効だそうです。
これが無ければゴールがものすごく遠かったように思います。
ありがとう川。
そしてそして15:55頃やっと登山口に戻ってきました。
往復約10時間のトレッキング。無事に終えました。
膝のがくがくもおさまって、
想像していたよりはましだったけどやっぱりしんどかった~。
登山口から屋久杉自然館までのバスは、帰りもやっぱり爆睡。
でもそのしんどさをはるかに上回るパワーをもらえたトレッキングでした。
本当に行ってよかった。
屋久杉自然館からガイドさんがホテルまで送って下さいました。
このトレッキング後に運転できるガイドさんシンプルにすごい。
2泊目・3泊目はJRホテル屋久島です。
屋久島南部の尾之間地区にあるホテルで
誕生日だったのでとっておきのホテルに泊まりたかったのと
温泉が湧いているということで選びました。
チェックインをして、案内されたお部屋からは
山と海が両方見えました!とっても最高なお部屋!
ホテルの方からお誕生日おめでとうございますのメッセージカードもありました。
うれしかった。
部屋から見える山は世界自然遺産地域にある、モッチョム岳です。
まず名前からして好きですが、山頂の方が岩肌が見えていて
それがすごくかっこいいんです。
見るだけなら、屋久島の山の中で一番好きだな~モッチョム。
縄文杉トレッキングで疲れすぎていてしばらく部屋で動けずにいましたが
温泉に入りたい一心で頑張って服を着替えて温泉に。
温泉はしっかりぬるぬるとしていて、温度も高くて
アツアツが大好きなわたしにとって最高でした。
露天風呂からは夕日も見えました。
足の疲労がとれるように長めにしっかり浸かりました。
夜ごはんはホテルでコース料理でした。
地魚のおさしみから、とびうおの薩摩揚げ(とびうお笑)、
黒豚のステーキ、鰻のひつまぶし、マンゴープリン…
どれもこれもすごくすごーく美味しかったです。
お風呂も入っているので後は寝るだけという状況で
素敵なお部屋でくつろげるのが最高にしあわせでした。
次の日に疲れを持ち越さないようにしっかりストレッチをして
あとホテルの方が湿布をくれた(優しい…)のでそれを貼って寝ました。
JRホテルにも畳があったけど、
屋久島のホテルはツインの部屋には畳があるのが普通なのかな?
この畳のおかげでストレッチしたり広々とくつろげるスペースがとれて
とても良かったです。
家族や友達からもたくさんのおめでとうというメッセージをもらいました。
誕生日に一人屋久島に行くような奴なのに
仲良くしてくれてありがたいです。
屋久杉パワーを26歳の年は存分に発揮できるようにがんばるぞ~~
続きます。
おわり