134 おかあさんのお弁当

 

 

その昔、

お母さんは3人兄妹分のお弁当を

毎日つくってた。

3つとも二段弁当でおかずがぎっしり。

 

けれども思春期に入ると

ボリューム満点のお弁当を持っているのが

なんだか恥ずかしくなって

一段にしてよ、とか

こんなに多くなくていいよ、とか

思ってた。

 

それから、わたしは冷たい白ごはんがぎっちり

なっているのが苦手で、

昔は温かいまま持っていける

ジャーお弁当も主流ではなかったから、

そんなわたしのためにお母さんはいつも

わざわざわたしの分のお弁当だけ

ご飯の部分を俵型のおにぎりの形にして

海苔も巻いてくれてた。

おにぎりの形をしていれば、

同じ冷たいぎっちり白ごはんでも

なぜか食べれたからだ。

 

自分でお弁当を作るようになってから

お弁当のためにおかずを作ることが

どれだけ面倒なことか、

おにぎりを作ることが

どれだけ面倒なことか、

身に染みてわかる。

だけどお母さんは3人それぞれのために

栄養満点愛情たっぷりのお弁当を

いつも作ってくれてた。

すごいなぁ、お母さん。

 

 

とか思いながら今日も、

会社に持っていくお弁当のために

おかずを作ってた。

お母さんの豆腐ハンバーグが好きすぎて

3日間にわたってレシピを

レクチャーしてもらった。

美味しくできてうれしい。

わーい!

 

お母さん、ありがとう!!

わたしもいつか、

面倒くささとかを超えた愛を持てるような

大人になりたい。

 

 

おわり